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危険性から規制は?

刺身包丁の持つ危険性から規制は?


平成21年にダガーナイフのような両刃で刃渡りが5.5センチを越える刃物の所有に対して、銃刀法による規制が科せられました。その時期に「刺身包丁も危険なのだから規制すべきでは」という声もちらほら聞かれました。

確かに刺身包丁は刃渡りが九寸以上あるものが殆どですから、懐刀や小太刀よりも長いものです。殺傷能力という面から見れば、無いとは言えません。

そもそも銃刀法は、正当な理由がなく6センチを超える刃物の所有することを規制していました。しかし刃渡り6センチ以下の包丁など、皮むき専用のようなものでない限り、刺身包丁でなくとも考えにくいものです。

「正当な理由」があっての所有ですから、銃刀法違反とはならないのです。ただ「護身用に」と言う事で車に出刃包丁を積んでいれば銃刀法違反、「今から調理を行うために所持している」「今買ってきた」などという理由は正当ですから、銃刀法違反には問われません。

ダガーナイフが名指しをされて規制されたのは、もともとが暗殺用として発達したという経緯があったからです。「殺傷能力がある」ということで名指しをされたわけではありません。

同時にブーツナイフ、ダイバーズナイフ、スローイングナイフの名称で販売されているものも対象となりましたが、それらは材質を変えるなどで対応もできますし、ダガーナイフが名を変えて販売される道を絶ったということと解釈してよいでしょう。

殺傷能力という意味では、カッターナイフやハサミですらあるのです。これを全て規制することは不可能です。この法律において「5.5センチを超える」とともに「15センチ未満の」という上限も設けています。

これによって刃渡りの面からも、多くの包丁は対象外となり、刺身包丁も当然対象外です。そして13センチ程度のペティナイフや小出刃などは諸刃ではありませんし、「正当な目的」ということからも法に触れることはありません。

刃物は法の規制よりも「持ち手の意識」です。全ての包丁は有益で生活に不可欠であり、食生活に彩りをもたらし、食文化における技を支える道具です。しかし刃渡りに限らず、持ち手の意識によっては危険なものになります。

日本食が世界遺産となりましたが、その一端を支えるのが刺身包丁です。これが殺傷能力が高い刃物であるという事自体が諸刃の剣であり、「使い手の危険に対する意識を高める必要性」は大いにあります。職業としている料理人はもとより、家庭で使う使用者もまた安全性に対する意識の向上が望まれます。